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外来環とは


医療行為とは本来、病気に苦しむ患者様を救うために必要な治療や処置をおこなうことですが、その方法を誤れば患者様に思わぬ危害を与えてしまう恐れがあります。歯科治療においても、小さな器具や詰め物などの誤飲や、薬剤によるトラブル、使用する器具を介した二次感染などに十分配慮しなければなりません。

そこで歯科医院に来院する方が安心して治療を受けられるために、国は平成20年度から歯科外来診療環境体制加算、通称『外来環』という制度を設けています。今回はこの外来環とはどのような制度なのか、詳しくご紹介したいと思います。

歯科医院で起こりうる5つのトラブル

歯科治療においては、その特性から油断すると起こりやすいトラブルがいくつかあります。特に以下の5つに関しては、歯科医院側の十分な配慮が求められています。

1.細菌やウィルスの二次感染

歯科治療では患者様の唾液や血液が、術者の手や器具に必ず付着します。そのため十分な感染予防をおこなわなければ、患者様に新たな細菌やウィルスを感染させてしまう恐れがあります。また唾液や血液以外にも、歯や金属を削る際に削りカスが空気中に飛散するおそれがあるため、その飛沫物による感染も防がなければなりません。

2.誤嚥

歯に入れる詰め物や被せ物は、調整する際に何度も取り外しをおこなうため、誤ってお口の中に落としてしまうこともめずらしいことではありません。またお口の中という、とても狭い空間でおこなわれる歯科治療は小さな器具を多く使用するため、注意を怠ると誤って患者様が飲み込んでしまう恐れがあります。特に歯を削るバーや神経を取る際に使用するファイルなどの器具は、体内に入った後に胃や腸などを傷つける恐れがあるため、十分な配慮が必要となります。

3.薬剤のトラブル

歯科治療はその多くで麻酔を使用します。しかし患者様の年齢や体調などに配慮せず、安易に使用すればショック症状やアレルギー症状など思わぬトラブルを招いてしまう恐れがあります。麻酔薬の他にも、歯科では抗生物質や痛み止めなどの薬剤を投薬する機会も多いため、個々の患者様に応じた適格な判断が求められます。

4.インプラントや抜歯などの外科治療のトラブル

歯科治療では歯を削る以外に、抜歯やインプラントといった外科治療を日常的におこなっています。外科治療は通常の治療よりも患者様に対する侵襲が大きいため、配慮を怠れば大量出血や術後の後遺症といったトラブルのリスクを高めてしまいます。

5.小児や高齢者におけるトラブル

歯科医院には小さなお子様からご高齢の方まで、幅広い年齢層の患者様が来院されます。お子様や高齢者の方は体調の変化も大きいため、治療法や使用する薬剤にも十分な配慮が必要となります。

歯科外来診療環境体制加算(外来環)とは

上記のようなトラブルを回避し、また万が一トラブルが発生しても速やかに対処できる環境を整えるために設けられているのが「歯科外来診療環境体制加算」(以下、外来環)という制度です。

外来環では患者様が安心して歯科医院に来院し、そして安全に治療をおこなえるための基準が定められています。その基準をクリアした歯科医院のみが国に申請をおこない、外来環の認定を受けることができます。

平成20年から始まった外来環の制度ですが、平成28年10月時点で外来環を申請している歯科医院は全体の2割程度しかありません。つまり外来環の認証をうけるには、実に厳しい安全基準をクリアしなければならないのです。

外来環の施設基準

歯科医院が外来環の申請をおこなうためには、以下の8つの基準すべてを満たす必要があります。

1.偶発的に起こったトラブルや緊急時の対応、また医療事故や感染予防対策に関する研修を修了した歯科医師が1名以上在籍していること

2.歯科衛生士が1名以上在籍していること

3.患者様に安全な医療を提供するために、以下の装置や器具が院内に設置されていること
 ・自動体外式除細動器(AED)
 ・経皮的酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)
 ・酸素(人工呼吸・酸素吸入用のもの)
 ・血圧計
 ・救急蘇生セット
 ・歯科用吸引装置(口腔外バキューム)

4.診療中に偶発的なトラブルまたは医療事故が起こった際、速やかに対応できるように別の保険医療機関との連携が事前に確保されていること

5.歯科治療で使用する器具や機器は患者様ごとに交換をおこなうこと
 また専用の滅菌器を導入し、適切な洗浄、滅菌処理を徹底できる十分な感染症対策をおこなっていること

6.感染症(肝炎・HIVなど)をもつ患者様に対して、個別に治療をおこなえる診療体制を常時整えていること

7.歯科用吸引装置(口腔外バキューム)を設置し、歯を削ったり、入れ歯や被せ物を削ったりする際に飛散する細かい物質を吸引できる環境を確保していること

8.歯科医院内の見やすい場所に、以下の内容を明示した院内掲示をおこなっていること
 ・緊急時における保険医療機関との連携方法や対応について
 ・院内で実施している院内感染予防対策、安全管理対策について


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